シンオウ神話を考える〜時間と空間のはじまり〜

 前回、前々回とシンオウ神話の背景について考えてきました。次はシンオウ地方の伝説ポケモン達について考察していこうと思います。

神々のモチーフを探る

 ディアルガとパルキア。この二体のポケモンはそれぞれ時間、空間を司ると言われている。昔の人々は、何に神々の存在を見出し、神話を作ったのだろうか。

 わかりやすいのは時間だろう。時が経てば何らかの変化が起きる。そこに神の力が関わっていると考えたと推測する。
 ではその変化とは何か。筆者は「太陽」ではないかと考える。太陽が昇ると朝になり、沈むと夜になる。もっとも身近でわかりやすい、時間による変化であろう。
 シンオウ地方は山が多く、雪深い場所もあり寒い地域。そのような環境ならば、空気をあたため暖気をもたらす太陽を神聖なものとする信仰が生まれてもおかしくない。

 更に、空間の概念が生まれる流れにも説明がつく。地平線から空へ登る太陽を見れば、高さ――縦の空間を認識できるはずだ。また、太陽は離れた位置にあるから、距離――横の空間も生まれる。太陽を中心にした時間と空間に、人々は神の存在を見たのではないだろうか。或いは、太陽が動くことで時間が流れるのだと考えたのかもしれない。

タマゴと太陽と神話

 次はパルキアとディアルガが関連しているであろう神話などについて考えてみる。

 ミオ図書館で読める「はじまりのはなし」では、初めに出来たタマゴから生まれた「さいしょのもの」が「ふたつのぶんしん」を作り出し、ぶんしんが祈ることで「もの」が生まれたとされる。これは、太陽の光で育つ植物の様子を示しているのではないだろうか。

 タマゴと言えば、「こんとんのうねり」からタマゴが生じたとされるが、これはポケモンがタマゴから生まれてくることから来ていると考えるのが自然だろう。
 しかし、ポケモンの世界において、タマゴが発見されたのはごく最近。昔の人々は知らなかった可能性もある。その場合、太陽と似た形状であるタマゴを重ねたと考えれば仮説と符合しそうだ。

3月28日追記:卵から世界が生まれる神話は現実でも複数存在し、「卵生型神話」に分類されるものである。

 「やりのはしら」の存在についても触れてみよう。
 テンガンざんの頂上に造られたこの遺跡は、パルキアとディアルガ(=空にある太陽)が降りてくる、もしくは空にいる二匹に声を届けるための場所なのではないかと考える。
 ギンガだんの首領アカギが「やりのはしら」でパルキア達を呼び寄せたことから、前者の説が有力だろうか。
 大きな柱や石畳が残っているのは神殿の類を思わせる。パルキアとディアルガ専用の持ち物「しらたま」「こんごうだま」が落ちているのは、何らかの供え物をしていた痕跡であるように思える。前述したように二匹が太陽の象徴であったとするならば、豊穣を祈る儀式が行われていたと考えるのが妥当か。カンナギの壁画も同じような役割を持っていたのかもしれない。

 この二つのアイテムにどのような意味が込められているのか、またホウエン地方と共通する「レジシリーズ」と「珠」の関係性などは、材料が無いため想像の域を出ない。
 今回の考察はここまでとしよう。次は「さいしょのもの」から生まれた「みっつのいのち」――湖の三匹のポケモンについて考えようと思う。

2010/03/28